なぜトラックは左廻りか

 陸上競技をはじめ、スピードスケート、自転車競技、
 野球のベースランニングに至るまで、人が走る競技は時計回りとは反対の左廻り。
 これは、IAAF(国際陸上競技連盟)が取り決めた国際ルールブックに
 「Left hand Inside」と書いてあることから始まっている。

 IAAFがこのルールを決めたのは1913年。第1回目の国際会議で決められた。
 何故左廻りにしたのかは、はっきりしていない。
 このルールが決まるまでは右廻りに走ることもあり、
 1896年に開かれたアテネでの第1回近代オリンピックでは、時計と同じ右廻りだった。
 また、それ以前の1890年に行われたイギリスでの
 オックスフォード大学とケンブリッジ大学の対抗戦でも
 右廻りだったという資料が残っている。
 当時は、その大会ごとに距離や廻り方を決める方式だったが、
 より記録が出やすい設定を考えるうち、自然と左廻りが主流になった。
 1906年のアテネオリンピック10周年記念大会では、コースが右廻りに設定され、
 多くのコーチや選手から「不自然だ」という抗議の声があがり、
 そこで、国際的にルールを統一しようということになった。
 現在、何故左廻りになったのか?と考えられている理由が幾つかある。

 ひとつは遠心力による心臓への負担を少なくするため。
 心臓が胸の左寄りについているため、カーブを走るとき左廻りの方が走りやすいという
 見方。
 また、広い野原などで目隠しをした状態で歩かせると、なぜか本能的に左寄りにずれて
 いくという説も。

 そして最も一般的な考えが人間の利き足の問題。
 実際に陸上の選手が400Mを走ってみるとタイムは左廻りが右廻りより2秒程速い。
 人の体の構造は片足が軸足、もう片方が蹴り足(利き足)になっていて、それは利き手と
 深い関係がある。
 右利きの人は左足が軸足、左利きの人は右足が軸足になり、軸足は体を支える踏ん張りの
 きく足で、一方の蹴り足は自由に動く器用な足となる。
 つまり、右利きの人が圧倒的に多い状況からも、コーナーで軸足の左足を踏ん張り、
 外側で器用な右足を動かすのが速く走れるからという説明が最も一般的。